25

 

コラム 241 コロナ「第2波」
コラム 242 山桃
コラム 243 金融センターへのチャンス
コラム 244 日々猛暑
コラム 245 ガラパゴスから決別
コラム 246 続・四国縦貫道
コラム 247 コロナ禍の一年
コラム 248 騒乱の年明け
コラム 249 コラム再開
コラム 250

インフレ時代の賢い戦略

 

里主コラム 1~10 51~60  101~110  141~150  191~200
里主コラム 11~20 61~70  111~120  151~160  

201~210

里主コラム 21~30 71~80  121~120  161~170 211~220
里主コラム 31~40  81~90  121~130  171~180 221~230
里主コラム 41~50  91~100  131~140 181~190 231~240
 里主コラム 241~250  251~260      
 
  • コロナ「第2波」

     過去の例からパンデミック(世界的大流行)の第2波がやってきます。


  •  今日現在、世界の感染者累計が600万人に迫り、一日の新感染者数が10万人超、死者数累計36.5万人弱となっている中で、次の波がどのような規模になるのでしょうか。
     未だ「第1派」のピークを越えていない国々は、インドで毎日8,000人を超え、ペルーで6,000人前後、チリで4,000人前後、メキシコでは3,500人近く、ブラジルは25,000人を越えてアメリカを抜いて一番多くの新感染者が出ています。ロシアでは依然として高原状態で8,000人を上回って推移し、世界の感染者割合の29.5%を占めて断トツのアメリカでは未だ25,000人近くの新感染者が出て依然猛威を振るっています。
     その中で早くも第2波が訪れている国イランでは1,000人弱まで下がっていた新感染者が2,500人を超えてピーク時の3,000人余りに近づいています。フィリピン、マレーシアも増加しています。
     日本では北九州市と東京都でクラスターが発生し第二波の予兆ではと心配されています。
     治療薬、予防薬が無い中で世界各国は「封鎖解除」を五月雨的に発表して、人々は恐る恐る普段の生活に戻る準備をしています。
     「経済優先」と言うよりこのままでは生活が立ちいかなくなる事態に追い込まれ、窮地に立たされた状態からやむなく部分解除に踏み切っているのが実情です。

  •   そんな中で、武漢から発生した新型コロナの隠蔽を問題視したアメリカが中国を激しく非難し、世界保健機関(WTO)の初期対応のまずさと中国寄りを非難しています。
     そんなコロナ過で、中国の全人代で「香港国家安全法」の制定が採択され、香港返還時にイギリスと取り決めた「一国二制度」の50年間堅持する国際法が骨抜きにされ、政治活動・言論の自由が制約されて本土並みの厳しい統制強化が敷かれることになり、これに反発したアメリカは香港の貿易上の優遇措置を撤廃、中国当局者のビザ発給拒否、米国株式上場の中国企業の投資制限と精査を決定、また世界保健機関(WHO)に対してもこれまでの関係を打ち切るとトランプ大統領は表明しました。
     中国はコロナ騒動の渦中に南シナ海の軍事基地(国際法違反)を行政区に取り込み、日本の尖閣諸島では中国海洋警備船が日本の漁船を追尾する行動に出て、明らかにステージを上げています。
     過去500年間で覇権争いが16回あったが、戦争にならなかったのはわずか4回だけで、今回の覇権争いが戦争になる確率は実に75%と言うことになる訳で、今回の全人代でも軍事費が増強され軍事大国(2位)として危険な水域に向かっていると観る必要があります。
     感染症も覇権争いも、どちらも手に負えない厄介な問題ですね。

  • 山桃

     梅雨空にヤマモモが赤く実って今が食べごろです。

    山桃の画像

     例年、山桃に果実酒と砂糖を入れて山桃酒を作ります。
     今年は小ぶりなので少し多めに入れる算段をして取り掛かかる予定です。
     3年もすると真っ赤なモルトの出来上がりで、楽しみです。
     その頃には新型コロナの影響から解き放されて、自由な暮らしが戻っていることを願うばかりです。

  •  

  •  昨日の発表では世界の新型コロナ感染者数は10,302,192人、死亡者数505,505人、致死率4.91%と依然猛烈な勢いで増加しています。
     感染者の多い順にアメリカ259万人、ブラジル137万人、ロシア64万人、インド57万人、イギリス31万人など、日本では感染者数18,476人死亡者972人死亡率5.26%となっています。
     衰えを見せないアメリカでは毎日の感染者数4万人以上、猛烈な勢いで伸びているブラジルでは4万人以上、インドで2万人以上、サウジアラビア、バングラデュ、インドネシア、イラク、フィリピン、メキシコ、コロンビア、アルゼンチン、南アフリカ、エジプト、ウクライナ、チェコなどの国々は増加が止まりません。
     「第二波」に備えて各国では対策に苦慮していますが、早くワクチンと処方薬が開発されることを願ってやみません。
     その間は、「3蜜」を避け、どうぞご自愛ください。

 

 

  • 金融センターへのチャンス 

     2020年7月1日、中国は「香港国家安全法」を施行した。
     これによって香港の「一国二制度」は否定されました。
     今後、金融センターとしての機能は徐々に失われていくことは自明です。
     2019年、香港に籍を置いている海外企業は、日本1413社、米国1344社、イギリス713社、シンガポール446社、ドイツ420社などとなっています。
     海外情報関連企業は自由な言論や行動が制約されるのでいち早く離れるでしょう。
     一般海外企業は制約の中で留まることを選択する可能性が大です。
     海外金融関連企業は徐々に撤退し、シンガポール又は条件の整った金融都市が現れればそちらへ移動し、世界の三大金融都市の座を明け渡すことになる。
     香港ドル(ペッグ制)で自由に世界と金融取引し、投資を通じて中国本土に大量に流入していた資金が今後は徐々に細っていくことになる。
     中国はイギリス統治の名残の「香港ドル」から「人民元」に戻して、名実ともに中国本土並みの金融都市に衣替えをすることが最後の仕上げと考えているからです。
     その場合「香港」よりも「上海」がより重要と考えるのではないだろうか。
     しかし言論統制、各種の制約下で世界金融センターとしての役目は果たせないだろう。
     そこで日本は香港に変わって、世界の金融都市を作り上げて「失われた20年」を取り戻し、モノづくり産業、おもてなし産業、そして金融立国として再生してはどうであろうか。
    「淡路島」を金融特区として、国際都市とし共通語は英語とする。
     法人税率は8.25%(16.5%)と香港並にする。
     規制緩和を徹底して国際レベル以上に簡素化する。
     24時間使用可能な国際空港、超高層オフィス、超高級マンション、日本庭園、数寄屋、茶室、日本の自然美と和食などの日本文化を堪能できるエリア、そしてセキュリテーシステムを徹底し、本土と異なった世界都市を作る。
     この金融都市に、世界中の金融関連会社がビジネスを行い、日本の良さを満喫しながら生活をエンジョイできるアイランドにすればどうか。
     香港を離れて「淡路」に移動すること間違いなしです。
     「品」のある日本を投影して、そこに国際人が活躍する「AWAZI」を想像してください。
     今はその絶好のチャンスと観ています。
     これを読まれた政界、財界、行政官が膝を打って賛同されることを願います。

 

  • 日々猛暑

     うだるような酷暑の中で、マスクをかけ、「3蜜」に心がける毎日でが、昨日も37℃を超えて、熱中症対策などに注意を払っても恐怖感を覚えます。
     そんな中で植物も異常現象を見せています。
     藤の花が咲いて晴天の夏空に向かって猛暑に文句を言っているようです。
     さすがにこの暑さ加減には花も1日ともたずドライフラワー状態になっています。

    藤の花

     温暖化の影響で植物分布が猛烈な勢いで変わっています。
     例えば高山植物などは氷河期に広く分布していたものが、温暖化に伴い高山の山頂部分にかろうじて生き残っている状態です。
     方や熱帯、亜熱帯に分布する植物が、日本でも見かけられる様になり、冬枯れしなくなっています。
     アフリカではバッタの異常繁殖で農作物に大変な被害を及ぼしていますが、これも異常気象に昆虫たちが反乱を起こしたのでしょうか?

 

  • ガラパゴスから決別 

      先般、安倍内閣に代わって菅義偉首相が第99代の総理大臣に選出され菅内閣誕生し、政策の主眼に「新型コロナ対策」、「行政改革」を上げられました。
     私は7月のコラムで「金融センターのチャンス」の提言をしましたが、10月5日、9月就任後初めて首相官邸で記者団のインタビューに答えて「国際金融都市構想」の実現に向けて積極的な発言がありました。
     要旨は「海外から金融関係の人材を積極的に受け入れて、活性化を図る」、「税制上の改革と、英語対応、在留資格の問題処理」、「誘致候補地は東京を含めて他地域でも検討する」等スピード感をもって政府一体となって取り組む旨を力説されました。
     ニューヨーク、ロンドン、その一角に日本のどこかでアジアを代表する国際金融センターがお目見えすることを強く切望します。
     前にも述べたように香港が政情不安から他の都市に乗り換えようとしているタイミングですから、香港並みかそれ以上の金融都市機能を備えれば、すぐにも実現します。
     行政改革の目玉として、日本の将来の発展のためにもお願いしたい重要政策です。
     ロンドンもEU脱退でフランクフルトや他の金融都市に移動が始まっています。
     国際金融都市センターを狙うヨーロッパの国々は、この好機を捉えて積極的な政策を打ち出して誘致を加速しています。
     期せずして日本もその好機にある訳ですから、縦割り行政を打破し、国際金融センター実現に向けて抜本的な制度変更と民間資本の積極的活用でタイミングを逸することなく勝ち取る俊敏さが求められます。
     私は候補地に「淡路島」を挙げましたが、自然環境と制約が少ない点を考慮してのことです。第一東京では地価が高く、密集していて高物価、人工的で自然環境には恵まれていません。
     すべて東京一極集中では国土計画上問題があります。
     島全体を国際都市特区とし、世界中から人材を集め、共通言語の英語と日本語を公用語に、世界一の低税率と世界一の医療施設を整え、日本の美をふんだんに取り入れた自然環境とスマートシティー化を実現させ、金融マンに限らず海外移住を望まれる世界の人々から「羨望の都市」を作り上げてはいかがでしょうか。
     アメリカは世界中から人材を集めて国家を形成し繁栄して、覇権国家として現在に至っていますが、その超小型版の未来国際都市を作ってはいかがでしょうか。
     バブル崩壊後30年を経た今日、ガラパゴスから解放された政策転換は、長期低迷脱却の起爆剤として格好のテーマではないでしょうか。

 

 

  • 続・四国縦貫道 

      12月5日、四国縦貫道へ繫がる徳島南部自動車道の徳島沖洲IC~徳島津IC間の新町川河口付近を跨ぐ最後の橋脚が設置されました。

  •  サルベージ会社の起重機船「海翔」(起重総重量4,100トン、アーム高120m、国内最大級)の巨漢がゆっくりと最後の中央部分の橋脚(161m、2,900t)の橋桁を引き上げて、1日がかりでセッテングを完了しました。
     10月初めに「武蔵」(起重総重量3,700トン、アーム高107m)が河口に向かって右側(県南方面)に橋脚をセットし、10月26日に同船が左側(吉野川河口方面)の橋脚(169m、3,040t)もセッテングしており、今回最後のセンター部分を超大型起重機船「海翔」がミリ単位の操作によって無事に橋脚接続を完了させました。(新町川にかかる橋脚部分は全長500m、幅員29mで鋼鉄製)
     日本人の職人気質は徹底していますから、こんな難工事も緻密な計算と技術力で、刻々と変化する気象条件を加味しながらやり遂げる頼もしい人たちです。
     日本の橋梁技術は世界に冠たるものですから、「素晴らしい」の一言です。
     河口付近はその作業を観ようと沢山の見物人で大賑わい、中には弁当持参の家族ずれもあって、記念写真を「パチリ」と収めていました。

 

 

 

  • コロナ禍の一年 

 2020年は中国武漢で始まった新型コロナウイルス感染が世界中に拡散して、目に見えぬ恐怖に翻弄された一年でした。
 次々と変異したコロナウイルスが世界各地に波状攻撃で襲いかかっています。
 世界中でワクチン開発に全力を挙げ、欧米で開発のワクチンが見切り発車的に緊急承認され、日本でも追認して来春以降に接種が始まる予定で、医療従事者、高齢者、基礎疾患者の方々が優先的になるようです。
 日本のワクチン開発は、安全性を優先する為に少し遅れて来年半ば以降に出てくる予定です。
 新型コロナ感染症の認識は世代間や国情によって異なり、すなわち若年層はかかっても比較的軽症であることから注意度が低く、市中感染の大きな原因の一つになっていますし、マスクをかける習慣の無い国々では感染拡大が顕著で発症患者で溢れています。
 100年前の1918年から1919年に世界中で大流行したスペイン風邪(インフルエンザ)は、5億人の感染者と5000万人以上の死亡者を出したと言われています。
 感染対策は「3密」を避け、うがい、手洗い、消毒をしっかりして最善の注意を怠ることなく、目に見えないウイルスと対峙しなければなりません。
 各国は「人命」と「経済」のバランスを考慮してむずかしい選択を迫られています。
 出来れば世界各国が一斉に強制的に行動規制をかけて、ウイルス拡散を制御することが最善かと思われますが、実現的には不可能なことですから、この上は、「自分の身は自分で守る」しか方策はありません。

 歴史に残る大惨事の年、コロナ過中に遭っては、くれぐれもご注意の上、ご自愛くださいます様、お祈り申し上げます。
 歳の瀬、寒さ厳しき折柄、一層のご健勝をお祈りすると共に、良き年をお迎え下さいます様、心よりお祈り申し上げます。

  • 騒乱の年明け 

 昨年来、全世界に猛威を振るう新型インフルエンザの累計患者数は9340万人、死者数200万人を超えて、2005年に流行したエイズ感染の死者数230万人に届こうとしています。

 次々と変異したコロナウイルスは徐々に感染力を高めて第三波を引き起こしています。
 急ピッチで開発したワクチンは、最終的な安全性を確認しないまま各国は見切り発車的に緊急承認して接種が始まっています。日本では安全性重視からワクチン開発は少し遅れて年央以降になると報道されていますが、欧米から輸入するワクチン接種が来月頃から医療従事者、慢性疾患者、高齢者の方々から順次進める予定のようです。
 いずれにしろ今年は昨年以上に大変な年になることだけは確かです。
 米国ではトランプ支持者らが大統領の扇動発言に触発され米国議会に乱入占拠し、騒乱の末5名の死者と多数の負傷者を出して数十名が指名手配されています。大統領の言動は民主主義の根幹を揺るがす礼節を欠いたものとしてトランプ大統領の任期が一週間後と迫った中にあっても弾劾訴追が下院の議会多数で採択されました。二度目の弾劾訴追は歴代大統領では初めての出来事です。
 ジョー・バイデン氏の次期大統領就任式にトランプ大統領は欠席すると言われており、大統領就任以来一連の異例ずくめ出来事は、世界を混乱の渦中に引き込んだ四年間でした。
 大統領選挙でトランプ氏に7400万票を投じたアメリカ国民の中には、今でも熱烈に支持している人々は相当数おいでになり、政策への不満が鬱積しています。
 方や、EUはイギリスが昨年脱退して足元がぐらついており、ロシアは虎視眈々と南下を狙い、中国は次の覇権国を目指して一層の経済力強化と軍事力を増強しており、あらゆる手段を講じて目標に向けた布石を打っています。
 世の中がこんな騒乱状態にある中で、もう少し穏やかで秩序ある世界が訪れることを願って年明けを過ごしています。

 

竹の丑飾り

 

  • コラム再開 

 長らく休憩を決め込んでいたコラム(2021年2月6日以来)を再開します。
 1年半も経つと、世の中の風景が激変しています。
 その一つはロシアがウクライナに軍事進行し、戦いが長期戦の様相を呈しています。


 もう一つの出来事は、1970年代に始まるインフレ狂乱物価とその後のデフレ経済に終止符を打って再びインフレ経済に突入したことです。
 前者はウクライナに住むロシア系住民が迫害を受けていると難癖をつけて、プーチン大統領は2014年クリミア併合の甘い汁を再びと2022年2月24日侵略戦争に打って出ました。
 ウクライナは自由主義を標榜しており、EU、米国などに軍事支援を要請するとともに、クリミア併合以後西側の戦術指導を受けて能力強化を図っており猛反撃で応戦、短期間でウクライナ全土を制圧できると踏んでいたロシアに誤算が生じた。その後戦略を変更して、EUに対し石油・天然ガスの供給制限、ウクライナでは占拠した原子力発電所の破壊や核戦力をちらつかせて戦況の挽回を狙っています。四州の占領地域ではロシア化を図って既成事実を強行しているが、国連は人道的決議案を140ヶ国の圧倒的多数で採択して(反対5ヶ国)無効を表明し、ロシアの孤立感がますます深まっています。
 ウクライナは占領地奪還に向けた作戦を展開し、特に米国の高性能長距離ミサイルや最新鋭戦車など遠隔地補給基地の破壊や前線での軍事作戦強化に必要な軍備支援を求め、特にクリミア橋テロ爆破以後、支援国はロシアによるウクライナ全土のインフラ破壊や都市テロ攻撃に対し人道的立場から支援強化を図っています。
 ロシア軍のウクライナ無差別攻撃ですでに数万人が犠牲になり、国外に一時避難した国民は1100万人を超え、ロシア軍も数万人の兵士の消耗で30万人を招集、世界を巻き込んだ大戦争が繰り広げられております。

 目を移して世界経済は、コロナ禍でサプライチェーンが遮断され、物流や人流がストップして経済がマヒ、各国は対応策に追われてヘリコブタ―マネーの大盤振る舞いや、無尽蔵ともいうべき緊急経済対策、物不足の中での大量のお札の供給は物価の高騰を招きインフレ経済へ突入しました。
 コモディティ価格が高騰し、ロシアの石油・天然ガス制裁から資源高騰が追い打ちをかけ、インフレ率は欧州、米国共に9%台に跳ね上がり、スタグフレーションの様相を呈しております。
 長らくデフレ経済に慣れた人々の急変したインフレ経済への対応は至難の業、1970年代に起きた狂乱物価のインフレ時代を知る人は少なく、歴史は繰り返されインフレで痛い目にあうことは避けて通れない時代となるでしょう。
 猛烈なインフレ退治に先陣を切って米国FRBは3月より利上げを開始、9月までに3.0%~3.25%迄利上げし、その後急ピッチの利上げ予定で11月0.75%12月0.5%が予測されており、FRBは年内4.4%、2023年は4.6%を目標値としています。米国2年物国債は4.5%台を付けていますから、それに見合う利上げをしないと沈静化へ向かわないと思われます。
 まだ先は長く、すでに米国は統計上のリセッション入り(22年上半期2期連続マイナス成長)しており、この先本格的な不景気の洗礼を受けることになるでしょう。
 過去100年の年平均インフレ率は4%です。
 100円が10年後には150円、20年後には220円でトントンです。
 ですから僅かな銀行預金は勿論、タンス預金は皆インフレの餌食になってしまいます。
 政府は昨年少額非課税制度NISAを再度進めて債権・株式の長期投資を勧めていましたが、素人の国民に向かって最悪のタイミングで勧誘したわけですから、現在多くの方が損失を被っていることでしょう。経済を理解しない役人が業界(証券会社、銀行)を援護するための方策で投資させ、しかも長期積み立て投資が安全であるかの様に謳っていますが、理解に苦しみます。
 目的は1200兆円に及ぶ国の借金をチャラにする計略としか考えられません。
 個人は政府の言い分は無視して、個々の能力と資金量に見合った投資戦略を、インフレを味方につけて磨いていくことが必要です。


 絶好のチャンスを逃さないためにも、まずは歴史を学ぶことから始めてはいかがでしょうか。
 このインフレ時代を楽しみたいものですね。

 

  • インフレ時代の賢い戦略 

 前回、歴史を学ぶことが肝要と申し上げましたが、1970年代のインフレはどうであったか列記します。
 1969年米国CPI(消費者物価指数)が6.4%と高騰、原因は1965年から始まるベトナム戦争の戦費拡大から1回目のインフレが起きたのです。
 1971年8月15日(日本時間16日)ニクソンショックが起き、基軸通貨の米ドルと金の兌換(交換比率、金1オンス=35ドル)を停止すると突然発表、米ドルはタダの紙切れになりました。日本の円も固定相場制(米ドル1ドル=360円)を終了、同年12月のスミソニアン協定で308円に切り上げ決定、1973年2月には変動相場に移行して現在に至っています。 米国はベトナム戦争の長期化で戦費拡大と米多国籍企業の海外移転により財政赤字と金保有量の激減でニクソン大統領は議会にも諮らず電撃的に兌換廃止を発表して世界に激震が襲ったのです。
 1973年(昭和48年)には第一次石油ショックが起こる。発端は同年10月に第四次中東戦争でイスラエルとアラブ諸国が戦火を交え、OPPC(石油輸出国機構)が当時の原油価格を3ドルから1975年には11ドルまで引き上げて国際原油価格が暴騰したのです。
 当時、日本ではトイレットペーパーや洗剤が無くなると噂が流れて買い溜めに走り、スーパーの店頭から商品が消えました。当時のCPI(消費者物価)は前年の5.7%から15.6%に跳ね上がり、石油価格は3カ月で4倍に高騰しました。当時私もトイレットペーパーを買いに走ったのを覚えています。(品物が無くなると噂が噂を呼び)
 1975年2回目のインフレでは米国CPIは12%、そして3回目のインフレは1980年で米国CPIは14.8%と都合3回にわたってインフレの波が襲いました。
 米政策金利は3回共インフレのピーク時よりも高く引き上げられて抑え込みを図りましたが、インフレ退治は思うに任せず、ボルガ―ショックと呼ばれるボルガ―FRB議長が政策金利を20%まで引き上げて1983年にやっと3%迄下がりました。副作用として10%を超える失業率を伴う深刻な景気後退に見舞われました。
 1970年代のインフレはコモディティ価格の高騰と下落、株価指数もピークから半値、金価格は10年で10倍の高騰など乱高下を繰り返しました。

 

 さて今回のインフレはどうでしょうか?
 中国発のコロナショックは香港株の暴落(2020年1月)から始まりました。米国を始めとして世界各国が一斉に財政支援政策に乗り出し、米国や日本などは直接国民にお金を配るヘリコブタ―マネー迄行い、米国をはじめ各国中央銀行は量的緩和(QE)で対応、サプライチェーンの寸断で物流の退路を断たれている中での緩和措置は物価が高騰するのは当たり前です。ジャブジャブにお金を供給したため、40年ぶりのインフレ経済へ突入となったのです。米国でインフレ率9.1%、EUでは10%と高騰を演じています。
 米国S&P500株価は2020年3月23日2191.86の底から上昇し、2022年4月1日には4818.62に高騰しました。物価高騰を受けて米国は率先して政策を転換し、量的緩和縮小(QE)、量的引き締め(QT)、そして加速度的な利上げを強行、引き締め政策を受けて米株価S&P500 は現在30%程下落の只中にあります。
 WTI原油価格は2020年4月20日に1バーレル/マイナス36.38ドルとお金をつけて処分売りする大暴落を演じ、その後反転して2022年3月8日には1バーレル/129.42ドルまで暴騰、現在はまた下落途中です。
 消費者物価の高騰は時間差で最後にやってきます。特に石油はあらゆる商品に波及しますから消費物価高騰は避けられません。
 今は1度目のインフレを体験しているところですが、これから波状的(後2回?)に訪れるインフレに備える必要があります。(1970年代の経験即から)
 企業は仕入れ価格高騰を少しずつ商品に転嫁して難局を乗り越えようとしますが問題は消費者です。容赦なく襲ってくる物価高騰から逃れる手段は二つしかありません。
 一つは耐乏生活、もう一つは持っているお金をインフレ率より高く働かすことです。
 前者はじり貧でお勧めすることはできません。
 一般的にサラリーマンはサラリーの中から少しずつ貯蓄して目的のものを買入したり、老後の蓄えに回していますが、そのプロセスには問題があります。
 間違っても銀行預金(定期等)で増やそうと思わないことです。
 歴史に倣って株式やコモディティ銘柄等などに投資して利ザヤを稼ぐ、つまり先ほど申し上げました様にインフレ経済は乱高下を繰り返しながらやってきますから、その波にうまく乗って、持ち金を働かすことをお勧めします。
 自分に見合った無理のない投資戦略を確立して、インフレ(貯金の目減り)から逃れることが不可欠です。
 現在のインフレ率は庶民感覚では3年で30%の状態です。
 インフレ時代の資産運用は複利計算で見つめることが肝要です。
 例えば1万円を年複利10%で10年すると2万3500円になります。
 都市銀行の1年定期金利は現在0.001%で、固定と仮定すると1万100円しかなりません。(実際は後追いで少しずつ金利が上乗せされますから若干増えますが)
 100年平均のインフレ率は約4%ですから10年だと1万4802円です。
 都市銀行1年定期では▲4702円が目減りしますが、うまく資産運用して仮に年率10%に回したとして+8698円のインフレヘッジになります。サラリーと合わせて持ち金の一部でも働かせてインフレ時代を賢く乗り切る処世術を身につけることをお勧めします。
 はじめは失敗がつきものですが、それを教訓にして確率を高めて、次のステージへ繋げればきっと楽しい人生が待ち受けています。インフレを味方にされてはいかがでしょうか。